#STORY 004Noとは言わないモノづくり

超純水加熱ユニット開発ストーリー

EソリューションBU 開発部
K・M出身学部:生命工学研究科 脳情報専攻

001“超純水加熱ユニットの開発”

001“超純水加熱ユニットの開発”

超純水加熱ユニットの開発

私の所属するEソリューションBUでは、半導体製造装置を中心に、チラーや空調機などの冷熱装置から、ウェハ搬送ロボットまで多様な製品開発を行っています。
これまで私はどちらかと言うとロボット製品の試作等に携わることが多く、それらの電装設計や制御ソフト設計を行ってきました。
その中で、“超純水加熱ユニット”は私が電装・制御の主担当として携わった初めての冷熱装置でした。
製品のスタートは、お客様からの「現在使用している他社既存製品からの性能向上・コストダウンを図れないだろうか」と言ったリクエストでしたが、社内的には類似製品のない新規開発製品であり、大きなチャレンジだと思いました。
“超純水加熱ユニット"は供給された超純水(純度が極めて高い水)を加熱・温度調節して送出する装置なのですが、150kWを超える加熱能力・消費電力を持った、言わば“ヒータのお化け”と例えられるようなものです。半導体製造工程では、ウェハを洗浄する温水を作るために使用されます。

002“高い温度安定性の要求”

002“高い温度安定性の
要求”

>高い温度安定性の要求

開発当初はその消費電力の大きさから、部品の選定、排熱の処理、規格への適合等、電装設計面で試行錯誤したものの、制御ソフトとしては所詮、ヒータで加熱するだけで難しい温度調節制御は必要ないだろう、と甘く見ていました。
ところが、試作機が完成して制御しようとしたときに、その考えは脆くも打ち砕かれました。
要求されていた温度安定性の精度は±1℃以内で、流れている水の流量が安定しているときは精度を満足できたのですが、装置の要求仕様で規定されていた範囲で流量が変動すると、すぐに±1℃の範囲から外れてしまいました。
実際のお客様での使用方法においては、接続する機器や工程ごとに時々刻々と流量が変動する中で、常に温度精度が±1℃以内であることが求められるため、この段階での性能はとても満足のいくものではありませんでした。

003“制御方法の融合とチーム連携”

003“制御方法の融合と
チーム連携”

制御方法の融合とチーム連携

流量変動に対して温度安定性を高められない原因は主に、配管容積が大きく、ヒータ出力が温度に反映されるまでの時間が極端に長い割に、ヒータ出力が膨大であることでした。
この問題に対して制御的側面からの対処として、単純なフィードバック制御だけで制御せず、装置を時変分布定数システムとしてモデリングした上で、流量変動をシステムに対する外乱とみなし、フィードフォワード制御を併用する方式を取りました。
この対処により、流量変動に対してヒータ出力が即座に補償され、温度安定性は向上しましたが十分ではありませんでした。
残った考えられる対処はメカ的側面から、配管容積を減らすことでしたが、配管の圧力損失や加熱効率の面から難しい変更だと言うことは分かっていました。
にも関わらず、メカ担当者も迫る納期の中様々なアイデアを出してくれて、互いに検証を繰り返しながら、配管容積を最適化することができ、要求された温度安定性を満足する製品を作ることができました。
大きな達成感を得ることができましたし、私個人だけでは到底なし得なかった結果だったと実感しています。

004“次のステップ”

“超純水加熱ユニット”としては、使用できる流量の範囲をより広くカバーできたり、お客様に応じたオプション機器の搭載や付加機能を用意することにより装置バリエーションを増やすことで、他社装置との差別化及び商品力の強化を行っていきたいと考えています。
また、現在要求されている温度精度は現段階のものであり、お客様での実際の使用方法を伺うと、半導体製造プロセスの進歩に伴って、まだまだ高精度化の要求が潜在していると感じます。
当面の目標として、更に一桁小さい精度の実現に向けて開発を続けていきます。
“超純水加熱ユニット”では、失敗を含めエンジニアとしてたくさんの経験をし、多くのことを学びました。装置自体にもお客様の利便性や性能の点から、改善できる余地がまだまだあると考えています。装置の開発を次のステップに進めることで、きっと私自身の成長にもつながると思います。

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